ジャカルタ

ジャカルタ旅行⑧旅の最後にセックス飯を味わう

リナと別れて、1001のフロアでセックス飯を注文する。

セックス飯とは端的に言うとセックスをした後に食べる飯のことだ。(いやすみません、これ以上の説明は正直思いつかないです。)

ぼくの尊敬する伊丹十三は女性の好みにピタリと合うカクテルを注文するのが男の一つの悦びであると著書で語っている。
それと同じく、セックスした後にその気分にピタリと合う飯を注文するのも、一つの悦びではないだろうか。
ぼくの印象に残っているセックス飯は堂山町のラブホで出前に頼んだ中華丼。
ぼくは美味しく食べたけど、彼女は胃が受け付けなかったようで、若干吐きそうになっていた。

そう、伊丹十三の言う男の悦びをぼくはまだ味わえていないのだ。

今宵のセックス飯はサテとナシゴレン。インドネシアの王道を行ってみた。

まずはサテ。
鶏肉はイスラム立法にのっとって処理されているかわからないけど、ココナッツとクルミが入ったソースと焼いた鶏肉の香ばしさがマッチしていて、とても美味しい。
そして、ナシゴレン。
海外の料理を食べると、どこか日本で食べた料理と共通点があるなと思いつつも、どこか異国情緒を残すところがあるが、コイツは違う。
ただの焼き飯だ。

ビュッフェでコイツが出てきて、ナシゴレンだと言い当てるよりは、ウォーリーを探すことの方が簡単だ。

ナシゴレンを食べている最中に、リナが他の男と部屋に向かう光景を見る。ナシゴレンの味がちょっとだけしょっぱく感じた。

スパの料金340万ルピア(約2万6千円)を支払い、1001を出ると、スカルノハッタ空港までタクシーで向かう。

翌朝は朝7時のフライトのため、空港に隣接するエアポートホテルで一泊する。
朝起きると、空港のチェックインカウンターでチェックインをしてから朝食を食べる。
頼んだのはまたしてもナシゴレン。

今回は西洋風にオリーブ風味にしているが、やはり焼き飯であることに変わりはない。そして羽田経由で関空に着き、20時くらいに自宅に戻った。

月日は流れジャカルタ旅行から1週間が経ち、旅行のブログの草稿を休日にまとめている。

一息つくと、コーヒーを入れ、カサヴェテスの生誕80周年を記念するDVDBOXから「チャイニーズ・ブッキー」を自宅で鑑賞する。

チャイニーズ・ブッキーを殺した男こと、コズモ・ヴィッテッリは自ら経営するストリップ・バー『クレイジーホース』の借金完済の日に店の女たちを連れて、カジノに赴き、一晩で2万3000ドルの借金をする。(こういう自己破滅的なキャラが自分と重なり、単純にバカな男だと笑えない。)

そして、借金返済のため、地元の中国人の大物マフィアであるチャイニーズ・ブッキー殺しを命じられる。

ぼくがこの映画を観て最も印象に残ったのは、最後のシーン。

マフィア殺しの際に負った傷で自分の運命を悟ったコズモが店の観客に向けて、最後のメッセージを伝える。

彼は観客に向けて云う、「セックスこそ全てと人は言うが、クレイジーホースはそれだけじゃない」と。

 

映画を見る限り、クレイジーホースのショーはお世辞にも素晴らしいと言えないし、コズモのこだわりの強さも理解しかねる部分があったが、この言葉が放たれた瞬間に自分の思いを代弁しているようで、泣けてきた。

ジャカルタでジャズを聴き、同じくジャズのインプロビゼーションに影響を受けたフリオ・コルタサルの『石蹴り遊び』のような文章表現を得られると思っていたぼくは、自分のブログのくだらなさと馬鹿さ加減に嫌気が刺していたが、このコズモの言葉にとても励まされた。

セックスだけが全てじゃない。

ぼくのブログもコズモのバーのようなものにしていきたいと強く思った。
そしてゆくゆくは、マニラのブルゴス通りにあるゴーゴーバー、クレイジーホースのオーナー(名前は知る由もない)とこの映画について、酒を酌み交わしながら、語り合いたい。

 

これでジャカルタ旅行記は終わりです。
次行くところは内緒にしたいと思いますが、ジャカルタ旅行記の所々にヒントがあります。

 

それでは、また。