上海

上海旅行④~現代アートが集う龍美術館 クナウスゴールを読む


地下鉄を降りた後、川沿いにある龍美術館までの道のりを歩いていく。
このエリアは未開発で人通りはまだら。上海の乾いた空気がいっそう冷気を運んでくる。
そして、駅から歩いて10分ほどで、龍美術館へ到着する。
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この美術館は中国人オーナーの龍夫妻の施設美術館で、古い船着き場をリノベーションした施設となっている。
規模は異なるけれど、学生時代に訪れたロンドンのテートモダンを思い出した。
料金は250元とかなり高額だったので、展示を絞ろうと思ったけど、それはできないらしい。

中に入ると、現代アートの巨大オブジェが目の前に立ちはだかる。
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建物が広く、天井も高い分、大きな展示物を飾ることができるので、アートを一つの体験として、鑑賞することができる。
そして、施設の地下1階まで足を運び、

中国人画家Tu Hongtaoの展示展を鑑賞する。
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中国の古典美術にルーツを持ちながら、ドイツ人画家のダニエル・リヒーターにも師事した彼の画風は東洋と西洋の手法を上手く融合せている。先駆者であるザオ・ウーキーと同じく、西洋の現代アートをより積極的に取り入れようという意気込みが感じられる。


資本主義からマネーの恩恵を受け、さらに加速する中国現代アートは非常に良い環境下にあり、目が離せない。次回の訪問の際には、他のギャラリーにもぜひ足を運びたい。
美術館を出た後はカフェでKindleを読む。

今読んでいるのは、カール・オーヴェ・クナウスゴールのわが闘争の第二巻。
このノルウェー人作家の凄いところは自伝的に小説を書き、自分の名前はおろか、兄弟、両親、友人、彼が関わった人物を全て実名で綴っているところだ。

コロンブスの卵的発想というか、コンセプトを思いついたとしても、誰も実現しようとしないアイディアだ。現に彼は出版前に関係者に対して、原稿を送付し、出版の承諾を求め、親族から裁判で訴えられるギリギリの所まで行ったらしい。
全てを小説にさらけ出すスタイルは斬新で痛切に胸に訴えて来るものがある。
ちょうど、今読んでいるページは、若い時分に妻になるリンダに振られたショックから洗面台の鏡を拳で割り、その破片で顔をギザギザに切り刻んでいるシーンだ。クナウスゴールの事を思い出す度に『フランダースの犬』のパトラッシュを思い出す。頑張れ、パトラッシュ、そして頑張れ、クナウスゴール。
カフェの窓から上海の曇り空とそれを横目にゆっくりとした速度で進行するタンカーが姿を現わす。
人はまだらだが、割合としては、外国人と若い人が多い。このエリアは今後さらに開発されると思うけど、今くらいの規模感が保たれてほしいと思う。